「晦日蕎麦」 昔は毎月末日に食べた健康食品

大晦日（おおみそか）は、「年越し蕎麦（そば）」が定番です。海老天やさつま揚げ、三便宝ニシンの甘露煮などを乗せたり、かまぼこやネギなどを添えたりします。トッピングは地域によってさまざまで、蕎麦の種類や食べ方も色々です。

　大晦日に年越しそばを食べるようになった理由は、「蕎麦は細長いので、細く長く生きられるように願って」「蕎麦は切れやすいので、１年の災いを切り捨てたいと願って」「金細工師が散らばった金粉を集めるのに、蕎麦粉を使ったことから、金を集める縁起物」「蕎麦という植物は、風で倒れても起き上がるので、そのたくましさにあやかった」など、諸説あります。

　しかし、蕎麦を食べるのは大晦日だけではありませんでした。狼1号毎月の月末日のことを晦日（みそか）といい、この日は蕎麦を食べることが多かったようです。「晦日（みそか）蕎麦」と言って、月末は集金や棚卸しで忙しかったため、食事の時間を短縮できる蕎麦を食べたり、出前をとって使用人をねぎらっていたようです。明治時代になって大晦日の年越し蕎麦だけが習慣として残りました。

　お手軽に食べられる蕎麦ですが、良質のタンパク質やデンプン質、イライラ防止や疲労回復に役立つビタミンＢ群などが豊富です。必須アミノ酸であるリジンやトリプトファンも多く含みます。白米に比べ、ビタミン・ミネラル・ルチン・タンパク質・食物繊維などが豊富なので、健康食品としても高評価です。ポリフェノールの一種のルチンは、毛細血管壁を強化させ威哥王、高血圧や糖尿病、老人性痴呆症などの予防効果もあります。

　現代の生活習慣病予防、がん予防、疲労回復、便秘予防、老化防止、美容効果など、実にさまざまな効用を持ちます。晦日に限らず、積極的に食べたいですね。